みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
先日横浜のヨドバシカメラに足を運び、表題のヘッドフォン2機種を聴いてきたので報告いたします。

Mr.Speakersより販売されている平面駆動型の超フラッグシップ機種であるところのETHERシリーズは私がここであれこれ語ることなく皆さんご存知であると思います。
写真の左奥にある黒いヘッドフォンがETHER Cです。
カーボンファイバーを用いたハウジングは美しさと軽量さ、優れた音響特性を有しており、見た目も音も素晴らしいものとなっています。
分厚く高級なヘッドパッドとも相まって装着するとさながらヘッドギアのようではありますが、大型ヘッドフォンとしては長時間の装着も全く苦にならない適度な重量と装着圧に思います。
音質傾向としてはニュートラルでありローは若干弱いと感じる方もいるでしょう。平面駆動型はローが出ないとよく言われますが、良くも悪くもそういった諸特性は持ち合わせていると思います。
しかしながら、まず装着し一聴した段階で、やれここが良いだの悪いだの、あそこはもうちょっとこうだったら・・・などといった見方や批評といったものは全く必要ではありませんし、そういった行為にさえ至ることはありませんでした。
ただありのままに抱かれる、私自身全てを委ねその世界に包み込まれる・・・そういった感動がそこにはありました。
楽器も声も、いかなるものの表現もリアルであり、音数が多かろうとすべてをきっちりと輪郭、表情、質感、ありとあらゆるソースを忠実にかつアーティスティックに描き切る能力は、専用アンプや電源を有しないヘッドフォンとしては史上最高の完成度を誇ると思います。
女性ヴォーカルの表現力はゾッとするような生々しさと色っぽさがあります。
さんざん聴きこんで飽きているほどの楽曲もがすべて初めて聴く音楽のようで、ただただ黙って「神」に抱かれ流れる至福の時間は、一枚のアルバムさえ終わってしまえば一分いや一秒のように感じられるほどあっという間であります。
空間表現と広い音場、どの帯域や楽器においてもまったく隙や妥協、気になる点がありません。強いて言うならば元気さやローが或は不足していると感じる時も稀にあるくらいでしょうか。
まさに地上の奇蹟はここにあったのかという一台です。
さてもうひとつ、真ん中にあるものがこのAEON FLOWです。

こちらはETHERシリーズの流れを汲んだ音質のポータブル向けヘッドフォンです。
形状はAudezeのSINEにも少し似ています。あちらも大変すばらしいヘッドフォンであり、私は四半世紀まったく追随を許さなかったHD25の牙城を崩しうる歴代最高ポータブルヘッドフォンの一つだと思っています。そちらはまた別の機会に書くことにしましょう。
デザインや質感に関しては当然上位のETHERに遠く及びませんが、ポータビリティに関しては優れています。
ではこれをポータブルするかという話になればなかなかそう気軽にはいかないでしょうが、現実味はあります。
さて、肝心の音質については方々では割合と酷評もされているようですが、私はなかなか良いと感じました。
ただ、ETHERに比べ無機質すぎる点、音が全体的に軽く薄いというところは否めません。ローからミッドまでも厚みや迫力には欠けます。
全体的なバランスとしては非常に優秀に仕上がっているとは思いますが、やはりどれを聴いても価格を考えれば、物足りなさが否めないという機種。装着感に関しては割合とぴったりとはまってくれるので、私は好みでした。
かつてはHD650、MDR-SA5000、ATH-AD2000という7万円クラスがフラッグシップとして最高峰に君臨していましたが、ここ最近は下手すればエントリー・ミドルクラスの価格帯になってしまっています。
イヤフォンにしてもヘッドフォンにしても、高価格化の波が押し寄せてはいますが、音や質などを考えれば全く不満のない製品も非常に多いです。
今回紹介した二機種はいずれも音質のレベルが非常に高く、また素材やデザインにおいても優秀です。
AEON FLOWは若干高いかなとは思いますが、中途半端なものを買うくらいならば、この価格でこの音を得る方が最適解であるといえましょう。
3日4日に開催したヘッドフォン祭ではMrSpeakersから新製品の展示もありましたから、こちらも追って次の記事で紹介したいと思います。
エミライ→https://www.emilai.co.jp/
MrSpeakers→http://www.mrspeakers.jp/
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