2017年11月12日

2017年秋のヘッドフォン祭に行きました




みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
先日中野で行われた2017年秋のヘッドフォン祭りに足を運びました。

ヘッドフォン祭りは青山でやっていたころからずっと行きたい行きたいと思いつつも、日程の関係で断念せざるを得ない状況でしたが、今回ようやく行くことができました。
まあこれがどういったイベントかというのは、私のブログを読んでいただいている方の方が詳しいでしょうから、諸々割愛します。


というわけで今回は私が特に印象的であった機種について書いていきます。

まずはじめはHigh Fidelity Cablesブースのヘッドフォン、ZMFのAtticusとEIKON。
これは全然知らなかったのですが、ブースにおいてある佇まいをみて聴いてみようと。この日一番最初に試聴したのがこれなのですが、これが非常に好印象でした。
いずれとも非常に柔らかく豊かにバランスのいいもの。私は下位機種のAtticusのほうが優れているように感じたのですが、尊敬する諸氏がみなEIKONを絶賛しているところを見るにつけ、僕がAtticusだと思っていたのはEIKONだったのかな、とも思ってしまいます。
再生環境や楽曲、好みの問題の領域ではあると思いますが、いずれにしてもEIKONが15万円、Atticusが10万円という価格を見れば、音質はもちろん、質感に至っても大変な完成度の高さを誇るものであるなと、大いに感動しました。

さて次はKENNERTON ODIN Sapele。これは今回出展されている中で最も素晴らしいヘッドフォンではないかなと思います。
30万円超という価格もすさまじいですが、本体の質感からパッケージに至るまで、何から何までもが凡そヘッドフォンでは見たことがないほどの豪華絢爛ぶり。これも所有欲を満たす点で非常に素晴らしいものです。
肝心の音質についても大変に素晴らしいもので、平面ドライバとは思えぬ低域から中域までの圧倒的量と質感、全域にわたってのナチュラルさと情報量、全てにおいてこれほどの完成度のものがあるのかと唸りました。いつかは絶対に手にしたい一台でした。

次はaudio-technicaのATH-ADX5000。
これは本当に素晴らしいです。試聴機環境がラックスマンP-750uヘッドフォンアンプということで、或は自身の環境ではもっと貧弱になってしまう点もあろうかとは思いますが、試聴の15分間は体が震え続ける稀有な体験でした。
一聴してる耳や脳の満足感や印象はそれほどではないのですが、とにかく曲の節々で身体が芯からゾクゾクと振えるのです。本当に良い音、素晴らしい音でしかこうはなりません。楽器の残響、ヴォーカルの余韻、空気感、情報量、表現力、いずれにおいても比類ない完成度とリアルを感じます。先に挙げた機種などのようにリスニングライクなものではないですが、何時間でもまさに「抱かれる」ヘッドフォンでした。
私がハイエンドヘッドフォンに魅了され、注目することとなった機種はATH-AD2000です。初めてAD2000を聴いた時、いったい何なのだこの音は、こんな音がヘッドフォンで聴けるものなのか!と大いに感動しました。
あの日と同じ、ヘッドフォン試聴においてこれまで数度しか経験したことのない真の感動がそこにはありました。価格は25万円ほど。音質はもちろん素材や質感に関しても申し分なし。いくら何でも激安すぎる!と。
ここしばらく開放のハイエンドを一台ほしいと言い続けていますが、これもぜひ手にしたい一台。

次にMr speakersの静電型ヘッドフォン、ETHER ES。
こちらも非常に完成度の高い一台。試聴音源が慣れないものでありましたがヴォーカル、楽器、空気感の表現は丁寧かつ力量豊富な圧倒的なもので、価格は未定ですが、「最近のハイエンドヘッドフォンのようにそんなに高くはならない」ということだったので、或は10万円台?という可能性もあるでしょうか。
STAXのドライバーと同じ規格であるということでしたので、導入も容易であるといえます。独特な外観や質感等も含めて、価格にもよりますが、エポックメイキングな一台になるのではないでしょうか。

最後にobravoのヘッドフォン、型番は失念しましたが、最上位のもの。
スピーカーライクな表現ということで、慣れるまでの最初だけは違和感を感じるのですが、低域〜中域、空気感と豊かな表現力は圧倒的で、素晴らしいものを感じました。6000ドルだか7000ドルだということで、ちょっと価格があれですが、お金さえあれば欲しい一台。


このほかにも以前から(ブログでは書いていませんが)TechnicsのEAH-T700、SONYのMDR-Z1R、KuraDaのヘッドフォンについてはたびたび素晴らしいと言っていましたが、イベントで聴いてもやはり素晴らしいものでした。

T700についてはパナソニックブースで私の持っていたSL-XP7やXP5、XP50、S30などで大変いいお話をさせていただくことができて、正直これだけで僕はこのイベントに行ってよかったと思いましたし、初日出遅れても行ったのは本当に正解であったと思いました。本当に貴重なひと時でした。そしてお願いですからパナソニックさんはパナソニックでもテクニクスでもどちらのブランドでもいいので素晴らしいPCDPを出してください。お願いします。


両日ともに参加し、正直なところいろいろと不完全燃焼感もありましたが、それでも十分に堪能できました。
今回はおもにヘッドフォンばかりを聴きましたが、大変に良かったです。というのも、高価格帯が主になってきてはいますが、それでもこれだけ音も質感も完成度の高い機種がたくさんリリースされていること。そこに私は評価すべきポイントがあると思いました。ヘッドフォン業界は正直音質面ではここ何年間も停滞している感が否めませんでしたが、まだまだこんなに素晴らしいものが作れるのか、こんな音が聴けるのか、存在しうるのかと、ヘッドフォンオーディオに目覚めたばかりのあの頃のような発見や感動がたくさんあったのですよ・・・
タグ:event
posted by うきょうたかし at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽

2017年11月08日

OHMの新機種?再びCDP-R88Z



みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
ホームページの方にも主な現行機種リストを掲載しましたが、今回は830Zの時と同じく、またしても先代機種と同じなのではないか?という予測をしていたCDP-R88Zについてです。
今回も買わないといけないなあ・・・と思っていた矢先、なんと交流のある愛のスカイライン氏にプレゼントしていただいたきました。ありがとうございます。

20171108001.jpg 20171108002.jpg

今回は外装はもちろんカラーバリエーションまでなにからなにまで830Zと同じです。
パッケージには若干の違いはありますがほぼ気づかないレベルでしょう。

取扱説明書に印刷されている本体画像がなぜかCDP-380Zのものでした。理由は不明ですが、それならばロゴマークを380Zのときのような飾り文字にしてくれた方が格好良くて良かったですよね。

さっそく使用してみると、はい、同じように思います。読み込みまでの時間や騒音が改善されているように思いますがまあ個体差でしょう。
さて、その流れで中を見てみましょう。

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はい、830Z(380Z)ですね。

出荷時期等によっては或は若干の違いは出てくるのかもしれませんが、基板自体は380Zのころからずっと同じものですね。

どうせならばロゴマークやカラーバリエーションを刷新して、もっと魅力的なものを出してほしかった感も否めませんが、音質面や機能面では定評のあるものですから、変に新しくして駄目になるよりはこのままでいいでしょう。カラーリングも他社製品で黒や赤や青などが出てきましたから、逆にこういったポップなカラーリングはこれだけになってしまったので被らなくていいのかもしれませんね。

音質については830Zの時と同じです。スタンダードでありながら十二分の音質。
中国系機種らしいホワイトノイズは否めないところですが、今あえて音を楽しむためにPCDPを使っている皆さんなら所謂鳴らしにくいヘッドフォンイヤフォンのユーザーが多いでしょうから、ホワイトノイズなんて気にならないレベルだと思います。

クリアネスや広さ、ノビは物足りない感もありますが、芯も通っているし音質レベルとしては満足のいくものです。

劣悪個体ですら出回らないほど枯渇してきている中古市場でへたりきった個体を糞転売に高値でつかまされるくらいなら、はじめからこれを購入するほうがはるかに賢明でしょう。
先代機種の830Zでも初期不良報告が一定数ありましたが、一年間はいくらでもメーカー保証で交換してくれますからね。


スタフ屋→http://www.sutafuya.net/
オーム電機公式→http://www.ohm-electric.co.jp/product/c13/c1307/
(CDP-R88Zはまだ掲載されていません。)
タグ:OHM
posted by うきょうたかし at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | PCDP

2017年11月05日

Mr.Speakers ETHER C1.1とAEON FLOWを聴く




みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
先日横浜のヨドバシカメラに足を運び、表題のヘッドフォン2機種を聴いてきたので報告いたします。

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Mr.Speakersより販売されている平面駆動型の超フラッグシップ機種であるところのETHERシリーズは私がここであれこれ語ることなく皆さんご存知であると思います。
写真の左奥にある黒いヘッドフォンがETHER Cです。
カーボンファイバーを用いたハウジングは美しさと軽量さ、優れた音響特性を有しており、見た目も音も素晴らしいものとなっています。
分厚く高級なヘッドパッドとも相まって装着するとさながらヘッドギアのようではありますが、大型ヘッドフォンとしては長時間の装着も全く苦にならない適度な重量と装着圧に思います。

音質傾向としてはニュートラルでありローは若干弱いと感じる方もいるでしょう。平面駆動型はローが出ないとよく言われますが、良くも悪くもそういった諸特性は持ち合わせていると思います。
しかしながら、まず装着し一聴した段階で、やれここが良いだの悪いだの、あそこはもうちょっとこうだったら・・・などといった見方や批評といったものは全く必要ではありませんし、そういった行為にさえ至ることはありませんでした。
ただありのままに抱かれる、私自身全てを委ねその世界に包み込まれる・・・そういった感動がそこにはありました。

楽器も声も、いかなるものの表現もリアルであり、音数が多かろうとすべてをきっちりと輪郭、表情、質感、ありとあらゆるソースを忠実にかつアーティスティックに描き切る能力は、専用アンプや電源を有しないヘッドフォンとしては史上最高の完成度を誇ると思います。
女性ヴォーカルの表現力はゾッとするような生々しさと色っぽさがあります。

さんざん聴きこんで飽きているほどの楽曲もがすべて初めて聴く音楽のようで、ただただ黙って「神」に抱かれ流れる至福の時間は、一枚のアルバムさえ終わってしまえば一分いや一秒のように感じられるほどあっという間であります。

空間表現と広い音場、どの帯域や楽器においてもまったく隙や妥協、気になる点がありません。強いて言うならば元気さやローが或は不足していると感じる時も稀にあるくらいでしょうか。

まさに地上の奇蹟はここにあったのかという一台です。


さてもうひとつ、真ん中にあるものがこのAEON FLOWです。

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こちらはETHERシリーズの流れを汲んだ音質のポータブル向けヘッドフォンです。
形状はAudezeのSINEにも少し似ています。あちらも大変すばらしいヘッドフォンであり、私は四半世紀まったく追随を許さなかったHD25の牙城を崩しうる歴代最高ポータブルヘッドフォンの一つだと思っています。そちらはまた別の機会に書くことにしましょう。

デザインや質感に関しては当然上位のETHERに遠く及びませんが、ポータビリティに関しては優れています。
ではこれをポータブルするかという話になればなかなかそう気軽にはいかないでしょうが、現実味はあります。

さて、肝心の音質については方々では割合と酷評もされているようですが、私はなかなか良いと感じました。
ただ、ETHERに比べ無機質すぎる点、音が全体的に軽く薄いというところは否めません。ローからミッドまでも厚みや迫力には欠けます。

全体的なバランスとしては非常に優秀に仕上がっているとは思いますが、やはりどれを聴いても価格を考えれば、物足りなさが否めないという機種。装着感に関しては割合とぴったりとはまってくれるので、私は好みでした。


かつてはHD650、MDR-SA5000、ATH-AD2000という7万円クラスがフラッグシップとして最高峰に君臨していましたが、ここ最近は下手すればエントリー・ミドルクラスの価格帯になってしまっています。
イヤフォンにしてもヘッドフォンにしても、高価格化の波が押し寄せてはいますが、音や質などを考えれば全く不満のない製品も非常に多いです。

今回紹介した二機種はいずれも音質のレベルが非常に高く、また素材やデザインにおいても優秀です。
AEON FLOWは若干高いかなとは思いますが、中途半端なものを買うくらいならば、この価格でこの音を得る方が最適解であるといえましょう。

3日4日に開催したヘッドフォン祭ではMrSpeakersから新製品の展示もありましたから、こちらも追って次の記事で紹介したいと思います。


エミライ→https://www.emilai.co.jp/
MrSpeakers→http://www.mrspeakers.jp/
posted by うきょうたかし at 06:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽