2016年04月13日

一聴して驚愕 Forte Impact Duraの実力



みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
イベントレポートの動画はいかがだったでしょうか、参加した方もそうでない方も、是非こちらやツイッターでご感想などお寄せください。

さて、最近は各社からより高価格帯のイヤフォンヘッドフォン、さらには新興メーカーからのイヤフォンヘッドフォンが熱いです。
ちょっと前にはなりますが、TTPOD T1などもその価格からは想像もつかない音のクオリティに驚き、即購入を決めたものもありました。

最近ではKZ ATEだとかKZ IE80、Auglamour R8(これはまだ聴いた事が無い)など、結構耳にする機種も多いのではないでしょうか。

いずれも数百〜数千円でありながら数千〜・・・の音が出るというようなコストパフォーマンスのよさが売りで、成程聴いてみても納得の音です。
しかしながら、よく聴きこんでみると細かいところではアラがあったりもう少しこうであればというような感想があるのも事実です。
どれも「この価格なら十二分で、そこまでは求めるべきところではない」という結論に至ります。


さて、今回紹介するイヤフォンはそういった様々なイヤフォン界の常識を覆すまさに革命児たるところです。
こちら、SEIUN DAPでもおなじみ、CYBERDRIVEのForte Impact Dura(BASS TUNE)です。

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パッケージは非常にこじゃれていて、すっきりとした最近のデジタルガジェットらしいデザイン。
しかしオーディオ的な視点からすると、とても高級なものには見えないパッケージデザインです。

早速中をあけてみましょう。

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はい、よくある「低音フォン」らしい、ごつめであまり音の良くなさそうな佇まいです。
まさにそこら中に溢れかえる「ビーツ系駄イヤフォン」そのものであります。紐のようなイヤフォンケーブルも靴紐イヤフォンを思わせるものです。私の購入したこちらはガンメタル/ブラックでまだよいのですが、私が初めてみたものはゴールドで、もっとチープでありました(失礼)。


さて、このイヤフォンの素晴らしさを享受するにはまずイヤーチップから、というところがまずちょっと一呼吸置くところなのですが、私が以前ブログでも紹介したCarotONE TITTAにそっくりなイヤーチップ、ALPEXのものが大変よくあうので、これの購入が必須となります。

2012年12月29日記事「Carot One TITTA 純正とほぼ同じイヤーチップ ALPEX AEC-202M」
http://pcdp.sblo.jp/article/61104551.html

ツタヤやネットショップなどで格安で手に入ります。カラーバリエーションも豊富なので、楽しみも広がります。

それでは純正のイヤーチップは外してすぐこちらに交換し、早速試聴してみましょう。
写真では両方ピンクですが、後日右側赤左側青に変更しました。

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(試聴して知ってはいたが)一体なんだこの音は・・・
イーイヤホンなどの店頭で右から左、CIEM含めありとあらゆるイヤフォンを片っ端から聴きこんでいる私もこんな音は聴いたことが無い!

まず圧倒的支配力を持っているのは低域。これは見た目通りなんですが、これがイヤフォンでほかにはあるのか、というレベルの量。5EBあたりだけでしょうか。
それでいながらにして全くブーミーではなく、輪郭、エッヂが80点レベルである。
低音には元来五月蝿く、SE846ですらエッヂが足りないと、これにお金は出せないとなった私でありましたが、これはどうでしょう、ここまでの量と質を高次元で実現したイヤフォンヘッドフォンがほかにあるのか?

中域もボリューム感があるのにかまぼこ感や曇りは無い。ボーカルのリアリティが恐ろしく、特に女性のウィスパーなどは、本当にゾクゾクときました。ここまでの体感をイヤフォンでしたことは、過去にありません。

高域のノビもそこそこにあり、質が高いです。楽器の表現が実に巧い。音数が多くても一つ一つ鳴らす上に、低域や中域によって殺されることがないのも特筆すべきポイントです。

そしてこれらが全帯域にわたってひじょうにスムーズなつながりであり、ケンカしないのです。
ここが素晴らしい。すべての帯域ですべての音が、すべての楽器が、一音一音曇りなく冴え渡る描写、でもバラバラではなくナチュラル。
さらに主旋律のウラの表現が大変うまく、どの帯域でもどの楽器でもメイン、裏を描ききります。これのいいところは、ライブ音源などでメインヴォーカルのウラでのウィスパーや台詞まで表現するところであり、そのフェザータッチ感に酔いしれることもしばしばあります。

音の空気感や空間表現といったところは、これには驚くべきものがあります。ものすごく広いかといわれればそうではありませんが、聴かせ方、鳴らし方が広いのですよ。
微妙なニュアンス、各帯域、楽器における本当に微小な変化・揺らぎと言うものを繊細かつ大胆に表現する、実力の非常に高いイヤフォンです。

音質にはトレードオフがつきものです。量を求めれば質が劣る、ナチュラルさを求めれば解像感が劣る、色々あるでしょう。

このイヤフォンはまさにトレードオフ知らずです。

何で何を聴いても「オカシイ」という感想がまず口をついてくる言葉です。

例えばPCDPでいえばSL-S390系のように高域にアクセントのある機種で聴けば、バランスの良いクリアネスでありながら、締まった低域が素晴らしい音になりますし、D-11でDBB MAXにしてあわせてみれば、思わずあきれて笑うほどの馬鹿低音(なのに割れない、ブーミーでない、量と質のダブルパンチ)に加え、中域高域まで描ききる・・・
普通は再生機とイヤフォンヘッドフォンの傾向によっていい組み合わせ悪い組み合わせがあるものなのですが、両方の良いところだけを残すような再生音に驚かされます。

音源に移ってみればどうでしょうか、レディーガガなどのEDM、クラブミュージックなどは最も得意するところでありましょう、ステージのウーファーで慣らしている空気感を描きあげるイヤフォン、信じられますか?
空気を揺らす低音です。

男性ヴォーカルは例えばフランク永井のような魅惑の低音のセクシーな描写はもちろん、クリスタルキングやCCBのような高い男声もいけます。

このイヤフォンを語る上で女性ヴォーカルは外せません、ウェット感はもちろん、ドライ感も表現します。
非常に気色の悪い書き方にもなりますが、「唾液感」の描写がすばらしい、このイヤフォン以外で女性の歌を聴くことはできなくなるかもしれません。
先ほどウラの表現がうまいと書きました、女声のウィスパーや身体をなめるような音の描き方、ネバーランドへ誘うサウンドステージと言えましょう。

楽器の表現もうまいため、この音質傾向でありながらクラッシックもオーケストラもジャズも何でもよいでしょう。ヨーヨーマや2cellosを聴きながら目を閉じてみると、そこには楽器と身体を左右に揺らす彼らの姿を感じました。

色々と細かく厳しく聴きこんでいくと、確かにもうひとつ弦のクリアさであるとか、ちょっと欲しいところがあるな、とも思えますが、これほどのサウンドステージを実現したイヤフォンが他にはないというレベルであるので、全く不満にはなりません。

CW-L05QDを購入した際も、何で何を聴いても、聴き飽きた音源すらも初めて聴くような気分でした。
このイヤフォンもまさにその体験をさせてくれます。

Forte Impact Dura BASS TUNE、恐ろしいイヤフォンです。
これがたったの69ドルなのですから、これぞまさに数千円で十数万の音、ではないでしょうか。私にはこれがジェリーハービーがロクサーヌシリーズで出したかった(が出せなかった)音こそがこれであろうと、そう思いました。
実は今DACとセットだと49ドルで買えるみたいなので私は損してしまったのですが、イヤイヤ、この音なら690ドルでも690ポンドでも出していい、そう思えるので悔しさは微塵もありません。

イヤフォンヘッドフォンラッシュ、「またか・・・」というような思いも出つつあった今日この頃でしょう、とんでもない機種が現れました。



興味を持った方はこちらのクーポンコードから10ドル安く購入することが出来ますので、是非ご利用ください。
https://myforteaudio.com?redeem=NTZlYjIwN2VlOGQyMDIwMzAwZDVhNzc5


CYBERDRIVE公式→http://cyberdrive.audio/
右京崇本人によるレビュー動画(45分50秒より)→http://twitcasting.tv/ukyotakashi/movie/260836001
タグ:audio HEADPHONE
posted by うきょうたかし at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

右京崇とPCDP&ポータブルオーディオ研究部 イベントレポート




みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
前々より告知をしていた初の主催イベント「右京崇とPCDP&ポータブルオーディオ研究部」のイベントレポートを書きたいと思います。

まずはじめに多摩という辺境に遠くは中部地方から足を運んでくださった皆様、本当に有難うございました。
人数も丁度良いくらいで、皆さんと楽しく交流が出来たのではないかと思います。

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施設の画面に表示されるとうきうきしてきますね。


そして設営。

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このように並べてみるとあんなに重かったのにたったこれだけか、と思ってしまいます。

並べてみるとなかなかに良いチョイスが出来たのでは?と思いますがいかがでしょうか。

今回のイベントはみんなでPCDPを持ち寄るというよりは、PCDP玄人の方はもちろん、PCDPに興味がある方、そうでない方、特にライトユーザーの方にこそ参加していただいて愉しんでもらいたいな、という趣旨がありました。
私のPCDPコレクションとPCDPトークを愉しんでいただく、というような、そういう体験型イベント的な感じですかね。

今回はPCDP25台とイヤフォンヘッドフォンPHPA少々、という感じでした。

みなさんヘッドフォンイヤフォン音源をお持ちいただいて、よく聴きなれた曲で聴いていただくのが一番ですね。

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ここでは書ききれないくらい内容の濃い、自分で言うのもなんですが大変素晴らしいイベントでした。
愉しんでいただくことができていれば、幸いです。

はじめは集まりはどうだろう、楽しいイベントになるだろうか、と不安が先行していましたが、終わってみれば本当に最高の一日に成りました。これまでで最高の一日になったといっても過言ではないですね。

今回初対面の方も多く、また、半ば無理矢理「ぜひ来てください」と誘った方もいます。
参加いただいたみなさんに、恐らくほぼ全部の機種を聴いていただけたかなと思います。
こちらの機種は聴きましたか、なにか印象に残った音の機種はありますか、と、色々お話が出来てたよかったです。

今回のイベントでしめの時間まで残っていただいた方には印象に残った機種をうかがうことが出来ました。
その人気TOP3を紹介します。

1 IBM CD-ROM CD-400
2 SL-S30
3 SL-XP7&SH-CDB7

3位は今日のイベントの一番の目玉と言ってもいいでしょう、XP7ですね。スペースの都合上音響用のパーツはあまり入れられないので、ほぼ純正どおりの音ですね。
2位のSL-S30はこれはもういわずと知れた私といえばの一台。つい最近高精度クロックに変えたことで、S30の音を知っている方からも「ここまで変わるか」と感心いただきました。
1位のIBMは、リンクもある不器用貧乏メモさんで紹介のあったIBM CD-ROMのシリーズですね。
何年も前になりますが、不器用貧乏さんのところで聴いたときになんだこれはと驚愕した一台でした。
今回イベントに持っていった中では唯一のオリジナル(F95など素晴らしいパーツを投入した個体を持っていく予定だったが出てこなかった)でしたが、堂々の1位でした。

今回のイベントに参加いただいた方もそうでない方も、イベントレポートと今回の機材をざっと全て紹介するツイキャスの動画を撮りましたので、是非ご覧になってください。
http://twitcasting.tv/ukyotakashi/movie/260836001


イベントに参加いただいた皆さん、本当にどうも有り難うございました。また機会があればよろしくお願い致します。
タグ:event audio
posted by うきょうたかし at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年04月08日

ブラックゲートとMUSE F95、至高のブレンド


本日の持ち出し機種:SL-S30 T.Ukyo with Y.Tech custom
本日の持ち出しCD :電気式華憐音楽集団 電気式音楽集V



みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
初の主催イベントが間近に迫り、準備が意外と整わないことと集まりが芳しくないことに不安を抱いています。

さて、今回はずっと前からやろうやろうと思いつつ意外とやっていなかったパターンについての報告です。

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今回の個体は私もイチオシの優良機種OHM CDP-330M。新しい新しいと思っていても年数がたってきたので、保証もありますし現行の830Zや3866Zを選ぶほうがいいとは思いますが、格安で買えるならありでしょう。

音質に一番すぐ簡単に出てくるところはHPカップリングコンデンサであり、まずここを交換することが手っ取り早い対策であることはもうご存知の通りですね。

以前に比べれば海外ディストリビュータはもちろん、ネットショップや店頭でも随分とコンデンサの取り扱い品種が増え、小型機器の整備改造には本当に良い時代になりました。(もっとはやくにこうなっていれば!)

昔からの定番BGにオススメのMUSE F95、こちらをブレンドしてみました。

BGといえばこの唯一無二の低域をはじめとした音質が特筆すべきところであり、それはこの小型品でも同様のものがあります。
対してMUSE F95は高域と輪郭にアクセントがありつつも自然な音質が魅力です。

この二つをあわせればそれぞれの良い所を堪能できる素敵な音質チューニングになるのでは、と思いつつもまだ試してはいませんでした。
やろうやろうと思いながらやらないのは私の悪癖でも有ります。忘れないうちにやらないといけません。

というわけでこのようにBGとF95を並列に取り付け。裏面ちょっと雑ですがまあいいでしょう。

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たったこの二箇所だけなのですぐですね。
ほかの駄コンもついでで全部交換してしまうべきですけど、まあソレはそのときがきたらということにしておきましょう。

作業が終わったら即試聴。
いやぁ、予想以上に素晴らしい・・・ なぜもっと早くにやらなかったのか。

BG持ち前の低〜中域の量感そのままに、MUSE F95による明瞭感と輪郭がダイレクトにきます。
そうです、低域のアタック感とリアリティが全く違うのです。これほどまでに量と質の高いバランスというのは中々できないものです。
BGが主導する低域にMUSE F95がついたことで、BGだけでは得られなかったゾッとするほどの弦感が感じられました。
全域に渡りバランスが取れていて、低〜中域の量感と質感、高域のナチュラルなノビは様々なパターンを試してきた私にも、単一の銘柄では不可能な域であると思いました。

ブレンドはともすればマイナスになってしまったり、期待はずれだったり思うようにいかないことも多いですが、それぞれの良い所を倍々にしたような結果になりました。

純正と比較試聴すれば、たった二箇所のコンデンサを交換するだけでこれほど変化が出るものかと、毎度のことではありますが思います。

BG+MUSE F95、お持ちの方は是非お試しください。


スタフ屋→http://www.sutafuya.net/
タグ:DIY 整備 OHM
posted by うきょうたかし at 04:49| Comment(0) | TrackBack(0) | PCDP

2016年04月01日

高精度クロック導入 SL-S30五年ぶりの更新


本日の持ち出し機種:
本日の持ち出しCD :



みなさんこんにちは。スタフ屋の右京崇です。
今日はエイプリルフールですがエイプリルフールネタはなしでお送りします。

私の所有PCDP個体、早急に整備をしなければならないものも多くありますが、それ以上に私が既に手がけた個体が多くあります。
いずれももう長いものでは5〜10年、使用パーツは〜15年と、前々からも言っていますが「第二次」の整備時期が到来してくるのも時間の問題です。

さて、そんななか「私といえば!」でおなじみにもなっている一機種、SL-S30の構成を5年ぶりに変更しました。整備もそれ以来になりますが、私の整備が問題ないことを裏付けるかのように、外装の汚れ以外に何も問題はありませんでしたね。

今回の変更点はクロックです。
元々村田のセラロックがついていたところを京セラの水晶振動子に変更していましたが、今回はより精度の高いTCXOを組み込みました。

元々クロックの重要性はホームオーディオから良く知っているところであり、PCDPについても水晶振動子だけでなくいずれは高精度なクロックの組み込みも、と考えてはいました。

しかしなかなか手を出し辛いところでもありました。海神無線で扱いのあるフィデリックスのピュアリズム2(http://www.kaijin-musen.jp/124_5093.html)を一個買ってみようかしらともおもっていましたが如何せん値が張ります。


そんななか、ひょんなことからご好意で提供していただくことが出来たクロックモジュール、こちらを早速組み込みました。

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ピッタリと収まりましたね。
久しぶりに中をあけましたが、やはりMUSE-FXは素晴らしく音の良さそうな美しい緑色です。


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早速試聴。ちなみにこのIEMは今話題のビスパさん「Ba医王」にてクリーニング。写真では伝わりにくいですが新品のころを超えた艶めきです。
元々非常に高いスペックを持つSL-S30に加え、MUSE-FXの音。下から上まで万遍の無いサウンドステージではありましたが、今回のクロック交換では予想以上の効果が出ました。

まずはノイズフロアが圧倒的に下がり、S/N、分離とも数段向上。
すべての音が「バシッ!バシッ!」とキマります。音数が増えれば増えるほどに一音一音のダイレクトさとリアリティを感じられます。

クロックの重要性は十分に理解していましたが、PCDPではここまで変わるものかと。確かにコンデンサ変更における音の変化もともすれば据え置き機より如実に出るものがポータブルオーディオですから、クロックはより効果があったのでしょう。


SL-S30の少ない問題点といえば、これはもう仕方の無いところではありますが、近年のHi-DAPと比べればノイジーである、Hi-DAPと比べれば解像感がない、といったアナログVSデジタルが出てしまうところであります。
しかし今回の高精度クロック導入では、そこがなくなり、PCDPでいえばD-NE20を思わせる究極のクリアネスを獲得したように感じました。

そのうえで、Hi-DAPやD-NE20にある「つまらないデジタル臭さ」が無いのです。


オールドPCDPは第一次整備から第二次整備・拡張の時代に突入しています。
ディスクマンの互換ギヤーの製作はCDROMROM系の方が達成されたようですし、私も松下・SONY各機種対応の互換部品を製作しなければならない時が、そう遠くないなと思いました。


スタフ屋→http://www.sutafuya.net/
SL-S30紹介→http://www.sutafuya.net/pcdp/sls30.html
ビスパBa医王→https://bispa.co.jp/blog/1029
posted by うきょうたかし at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | PCDP